プロフィール
十日町市の市街地生まれ。立正大学で社会福祉士の資格を取得し、卒業後は埼玉県内の病院に勤務するも、職場内での人間関係が原因で退職。その後、当時から有償ボランティア登録をしていた社会福祉協議会に市役所勤務を経て入社。
「正直、十日町に帰ってくるまでは愛着はなくて。でも、実際に帰ってきてから、地元で頑張るいろんな人と巡り会って、自分もいろんなチャレンジをしています。」
庭野さんが最初に勤めた企業では、人間関係の問題に直面し、精神的に追い詰められていたという。昨今問題になっている社会問題を前に、庭野さんは鬱になる前に職場を辞めて帰郷した。
「仕切り直すなら、地元からって思いましたし、せっかく働くなら会社のためじゃなくて地元のために働きたいって思うようになったんです。」
その後、市役所を経て十日町市社会福祉協議会に入社。介護現場の最前線で訪問入浴サービスの業務に従事し、地域福祉を推進する活動にも貢献している。
「若者が集まる交流会に参加して『こんなにエネルギーのある人達がいるんだ。自分も頑張りたい』って気持ちが湧いてきて、アグレッシブに動くようになりました。」
すると、同じように地域で動いている人達と繋がる機会が増えていったという。その中で社会福祉に関わる一員として、訪問入浴サービスのPRや営業活動も積極的に行った。
訪問入浴のサービスをPRしていく中で、この町の特性に気がついた庭野さん。
「コロナウイルスで休校措置が取られた時、『にいがた未来の学校』というオンライン授業の取り組みに参加して、3月25日に訪問入浴サービスの現場を生配信しました。そうしたら地域の人に声をかけてもらうことが増え人と人とのつながりが深まると同時に、自分達の取り組みが広がっていくのを感じました。」
他分野の地域貢献にもしっかり取り組むことで、福祉や仕事のことを知ってもらうことが必要だと気づき、自分に何が出来るかを考えた庭野さん。そこで、市内で初めて中学校へ訪問入浴サービスの出張授業に赴くという『地域福祉』の取り組みに挑戦した。
「社会福祉協議会には、地域福祉の啓発・推進する部署と在宅介護を支えるサービス(訪問入浴、訪問介護)を提供する部署が分かれているのですが、今まで、地域福祉課が実施していた福祉教育の「福祉出前講座」には、現場で実際に入浴介助をする職員は参加していなかったんです。」
部署間が『地域福祉』を通して連携をした初めての取り組み。仕事を通して地域への視点が広がったという。自分の仕事と地域が繋がった瞬間だった。
「お互いの部署の業務を理解し合う良いきっかけにもなったと思います。こうやって部署の垣根を越えて仕事をすることでより良い化学反応が起きることを知る貴重な体験ができました。こういったチャレンジをさせてくれた職場には感謝しています。」
部署を超え、職場を超え、地域とつながる。十日町らしい仕事の在り方だ。福祉の仕事を志す人が溢れる社会創造へ向けて、いつか独立して福祉事務所を立ち上げたいと庭野さんは夢を語った。